穴馬発見☆資料置き場(倉庫)

コラム・最強馬

最強馬論




wrote:2003/12/4

「史上最強クラス」と、「史上最強」

<**ちょっと雑談/最強馬論**>

 「史上最強のサラブレッドはどの馬だ?」という議論って、なぜか競馬ファ ンの心を捉えて離さない面があるんだが、レースをたくさん見れば見るほど、 「あの名馬は強かった!」「今のレースぶりは、過去の名馬の○○のレースに 似ていた!」というようなことを、ときどき一人考えてはニヤニヤするように なる(←だいぶんビョーキ)。

 競馬キャリアが長いというのは、「ただ歳を取っただけ」ということでもあ るんだけど、僕の競馬キャリアは、あの、「帽子」でおなじみの鈴木淑子女史 とまったく同じ。ミスターシービーが三冠を取った年から、競馬にハマッテし まった。(まったく余談だけど、当時の鈴木淑子さんは、そりゃあもう可憐で、 かわいらしい雰囲気だった~、わはは^^)
 ミスターシービーの三冠なんて、すごく最近のことのように僕には思えるん だけど、いやあ、もう20年前の話だもんね~!
 僕が競馬を始めた頃には「シンザンを見た」というとすごく年季の入った競 馬ファンという感じだったが、今は「ミスターシービーを見た」「ルドルフを 見た」というと、あのときの「シンザン」ぐらいのイメージなんだろうか?

 いずれにしても、競馬のキャリアに応じて最強馬の話をするのは楽しいもの で、できるだけたくさん「名馬」と呼ばれるサラブレッドのレースを見るのが、 競馬の大きな楽しみの一つだと思う。
 そういう意味で、先日のジャパンカップ、実は馬券を離れたところでシンボ リクリスエスとジョハーにはかなり期待してレースを見ていたんだが。うーん、 両馬ともかなり激しく負けちゃいましたね~。


 僕はわりと好んで「史上最強クラス」という言い方を使う。
 たとえば、シンボリクリスエスの天皇賞・秋、あれはまさに史上最強クラスの 勝ち方だったと、JCの惨敗を見た今でも思っている。ジャパンカップの敗戦で、 シンボリクリスエスは「全戦歴が史上最強クラス」ではなくなったけども、そ ういう形で瞬間最大風速的に強かった馬はたくさんいる。

 たとえば、ラップを分析すると一目瞭然なんだけど、あのナリタブライアン は実を言うと「史上最強の皐月賞馬」だった。詳しくは省くけど、皐月賞のレ ースぶりはまったく際立ったもので、超ハイペースを先行してさらにグイッと 伸びた脚はド迫力、本当に凄かった。(しかしダービーや菊花賞はレースがあ まりにぬるすぎた。)
 強かったときのサクラローレルの安定感、あれも史上最強クラスだったと思 う。そしてサイレンススズカももちろん、本格化してから見せた圧倒的なパフ ォーマンスは、文句なく史上最強クラス。個体の競走能力という点だけを考え ると、あの馬の全盛期こそが、もしかすると文字通り「史上最強」だったかも しれない。タマモクロスも、連戦連勝していた頃は圧倒的に強かった。そして 豊が「マイルCSに出ても勝てる」と豪語した(らしい)メジロマックイーンも、 全盛時にはいったいどうやったら負ける可能性があるのだろうかと思うほど強 かった。
 ほかにも、エルコンドルパサー、グラスワンダー、スペシャルウィーク、ミ ホノブルボンなどなど、「史上最強クラス」のレースを何度か見せてくれた名 馬は何頭かすぐ思い浮かぶ。


 しかし、「史上最強クラス」の「クラス」がつかない「史上最強」は、やは りたった一頭なのだ。
 その王座に座るのが、僕の場合だと、シンボリルドルフ。名馬を論じるにあ たって、「史上最強」のガイドライン・基準となるのがルドルフだ。

 シンボリルドルフがいまだに「史上最強」なのは、理由がある。

(1)競走の全キャリアを通じて、チャンピオンだった。

 国内で負けた2戦、まず3歳時のJCは菊花賞からなんと中1週!しかも体調もか なり不十分な一戦で調教も手控えた形、レースでは逃げたカツラギエースを甘 く見すぎた騎乗ミスでもあった。もう一度の敗戦、秋の天皇賞は、病み上がり の半年ぶりのレースで、府中の2000mを大外枠から。にもかかわらずほとんど勝 ったレースだったが、ゴール寸前でギャロップダイナが出し抜けに強襲した。 (アメリカ遠征のレースは、惜しくもレース中の故障で大敗)

(2)違う世代のチャンピオンに圧勝した経験がある。

 ルドルフは、一つ年上の三冠馬ミスターシービーを3歳時からもうすでに子 供扱いしていた。ジャパンカップで負けたカツラギエースにも、きっちり次走 の有馬で借りを返している。古馬になってからは一つ年下の二冠馬ミホシンザ ンをまったく寄せ付けないレースぶりだった。

(3)馬場条件、距離などに文句を言わなかった

 4歳時に勝ったジャパンカップは極悪の重馬場。中山で強かった馬だが、京 都でも、府中でも、重でも良でも、いつも同じように「圧倒的に」強かった。

(4)どんなに人気を背負っても、常に自分の競馬をして勝った

 実を言うとこれがなかなか難しいもので、いつでもさっと好位につけて直線 抜け出して後続も完封する、というレース運びを、どんな条件でも確実にやっ てみせた馬はルドルフしかいない。

(5)無敗で三冠を制した上に、古馬のG1も軒並み勝った

 宝塚記念こそ体調が整わなくて取り消ししたんだけど、そのほかの古馬の中 ・長距離路線で、根幹となるG1をほぼパーフェクトに勝った。(秋の天皇賞だ けは前述の通りギャロップダイナに負けた)


 サンデーサイレンスの登場で日本の競馬は全体に底上げされて、かなりレベ ルアップしたから、もしかするとこういう圧倒的な馬というのは、もう出ない のかもしれないんだけどね。
 でも、どんな条件でもサイボーグみたいに強い馬、ちょっと見てみたい気も するなあ。

 ルドルフが文字通り競走能力において「史上最強」かどうかはもちろん異論 があるんだけど、上に掲げた「史上最強馬の条件」、これを完全に超える馬っ て、出てないでしょ? もしもクリスエスがあの不良のジャパンカップをなんと かモノにして、さらに有馬記念も連覇したとなると、少しルドルフに近づくか なあと思ったんだが、ジャパンカップの敗戦で、残念ながら「史上最強への挑 戦権」を失った、という感じかもしれない。

【ワンポイント】
マイルではタイキシャトルかなあ、ノースフライトかなあ、ニホンピロウイナーかなあ。 マイル路線の「史上最強」は混戦だ。 

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